根性!地中にコードを埋める
ある夕。カタギリ夫人のマンションにさしかかると、角を曲がる前から、煙とともにいい匂いが漂ってきた。ぐんぐんと鼻を利かせる。テラスでバーベキューをしているようだ。向こうは向こうで、めいっぱい活用しているな。庭の方へ回り、びっくりした。ライトがついている。今をさかりと咲き誇るグラジオラスを照らし、テラスで、あるいはリビングで、居ながらにして観賞できるように。春の京都の寺などで「特別拝観」として行う、桜のライトァップと同じ原理だ。夜の庭に浮かび上がる満開の花は、昼間よりいちだんとまた堂々としている。(やるなあ)感心した。ガーデンライフにかけては、カタギリ夫人は常に私の一歩も二歩も先んじている。家へ急ぎながら、むずむずしてきた。(そうか、照明か)わが庭にも取り入れられないものか。次の電話のとき、さっそくそれが話題になった。「あれ、何で点くんですか?ソーラー?」「電源よ、電源。お宅もたぶん、屋外にコンセントの差し込み口があるはずよ・芝刈り機のコードをつないだことない?」調べるとたしかにあった。
材料の準備
ライトそのものは、「和風でいいなら、『Jマート』にたくさんあるわよ・私なんて洋風のを探すのが難しかったから」またも「Jマート」。行ってみよう。庭園灯は、いろいろあった。大は石灯篭を模したものまで。私は庭の狭さに合わせ、カンテラほどの小さいものにする。地面を掘ったりする必要はなく、土の上にただ置けばいいらしい。問題は、コードである。設置場所はつくばいの後ろとしたいのだが、コードが芝生を堂々と横切るのは興ざめなので、なるべく目だたぬようにしたい。ポーチのへりをつたわせ、庭のすみを通すとして……。すると、どうしても長さが足りない。今ついているのは五メートルだが、前記のルートを巻き尺で継ぎ足し継ぎ足し測ると、八メートルは要る。屋外用の延長コードなるものは、あるのだろうか。家電の量販店をいくつか覗いたが、どこでも、「屋外用?さあ、うちでは取り扱いありませんね」と首を傾げる。そんなに難しいものを求めているとも思えないのだが。すでに設置場所を定め、差し込み口まで探しあててあるのに、あと三メートルのことで、実行に移せないのがもどかしい。ナショナルの庭園灯だったので、ナショナルの販売店に相談した。延長コードについては、ここでも、「ないねー」屋外で継ぐのは、水が入ったり、漏電の危険があるからではないかと。「ただし、本体のコードそのものをつけ替えることはできますよ。お預かりするので、少し日数はかかってしまうけど」お願いすることにした。